サーフスキーの浮力と体重設定
サーフィン性能を追求したレーシングカヤック、それがサーフスキー。
静水用レーシング艇と大きく異なる特徴のひとつは浮力です。
沖合いやビーチブレイクの波に対応するためには、
十分な浮力が無ければ危険。
そのため、穏やかな水面では左写真のように艇があまり沈みません。
この状態を見て「浮き過ぎ」と言ってしまうのは早計です。
下の写真を見てください。
それ程きつい波に見えないのに全体的に
かなり沈んでますよね?
もしこの艇の浮力を落としてしまったら、バウが水中に潜って減速してしまいます。
波がきつければバウが急角度で水中に刺さって危険な状況になるでしょう。
写真のように泡立っている状況では特に浮力が必要。
静水用レーシング艇の発想をそのまま持ち込んで、「浮き過ぎ」とか、
「体重設定が必要」と簡単に言ってしまうのは間違いなのです。
上の写真を見ると、静水用レーシング艇(上)とサーフスキー(下)では
サイズが全然違うことが分かります。
※レーシング艇は左が前、サーフスキーは右が前になっています。
静水用レーシング艇では10kgも体重が違えば沈み方が大きく変わり、
艇の安定性や性能に大きな影響が出てきます。
サーフスキーの場合には10kg、20kgの体重差があったところで、
艇の挙動が大きく変わることはまずありません。
一部外国メーカーが表示している「キャパシティー何kgまで」という表示に
関しては、ほとんど意味がありませんね。
サイズSのキャパシティが120kgまで、サイズMが150kgまで
だったとして、60kgのAさんと80kgのBさんにとって
選ぶ船はサイズSしかないですよね?
シーカヤックのように荷物を満載する訳でもありません。
サーフスキーでまず考えなければいけないことは、
漕ぎ出す海に対応できる浮力があるかどうかということ。
実際のところ、一般的な範囲の体重に収まるパドラーが一流メーカーの
サーフスキーに乗る限りは体重設定を気にする必要はあまりありません。
体重との兼ね合いよりも、海況との兼ね合いの方がずっと重要なのです。
水上に出ている面積が大きいことで風の影響を受け易くなりますが、
大きなバウを持っているのに風に振られにくい艇もあり、そういった艇は
スターン側の設計やラダーの使い方に関するノウハウがあるようです。
風に振られ易くなることと、体重設定の問題はそれぞれ別のアプローチで
解決していくべきであることを示唆しているように感じます。
最後に、私が尊敬している女子選手をご紹介します。
南アフリカのMichelle Eder選手。
彼女は身長169cm、体重わずか50kg。
見た感じ、日本の女子高生よりも華奢な彼女が、
FENN ELITEを乗りこなしています。
香港のDragon Run(2008年)ではマッチョな日本人トップ選手に
15分もの差をつけて勝っているんです。
この事実どう思いますか?
2010/07/27